新生活を迎える春
春、パリッとした制服を着た新入生であろう人や、パシッとしたスーツで通勤する新入社員であろう人を多く見かける。
思い通りの春を迎えて希望に胸を膨らませている人もいれば、思い通りには行かず複雑な気持ちの人もいると思う。
かつての私は後者の方が多かったかもしれない。
しかし、「どこに行くかじゃない。行った場所でどうするかだ。」「何事も平衡を保たないといけない。」の言葉に救われ、今、私は、とても満足した生活を送っている。
思い通りにいかなかった春
高校受験こそ志望校に合格して進学できたものの、大学受験では行きたかった国立大学に落ち、就職活動では一番行きたかった企業に最終面接で落ち、転職活動でもまた、一番行きたかった企業に呆気なく振られた。
まぁ、多くの人がそんなものかも知れないが。
ゆえに、滑り止めで受けていた私立大学に進学し(私学への進学を認めてくれたに親に感謝している。)、内定いただいていた企業に新卒で入社。そして、色々思うこともあり、ご縁があった今の会社に転職して今に至る。
大学受験に失敗した時の悔しさは今でも本当に覚えている。
きっと私は受験ノイローゼだった。肌は崩壊し、彼女に振られ、多くのものを失った。
就職活動では第一志望の企業に内定もらえなかったことを親友に電話で話したときには不意にも涙がボロボロこぼれて言葉を詰まらせた。
転職活動では一番行きたかった企業の面接で見事に空回りした。家に帰ってから壁に頭を何度も打ち付けた。「何やっとんねん、俺」とめちゃくちゃ情けなかった。
申し分ない生活を送れている今
では、学生時代から今までの生活に満足していないかと言えば、そんなことはまるでない。
そら、受験した難関大学に進学できていたならば、今より"良い"企業に入社して"良い"暮らしができているかも知れない。
(何が良いかなんて分からないし人それぞれの価値観によるものなので"良い"としておく。)
しかし、事実、私は学生時代に留学できた。すごく紳士的な会社でやりがいのある仕事ができた。1年間海外に派遣してもらい貴重な経験ができた。結婚できた。子どもにも恵まれた。申し分ない人生だ。
あの時、思い通りにならなかった経験が、今の私を支えてくれていると言っても過言ではない。思い通りではなかった結果でも満足な結果に繋がるのだ。
挫折から立ち直らせてくれた言葉
私の背中を押してくれたのは、恩師のこの言葉だ。
「どこに行くかじゃない。行った場所でどうするかだ。」
第一志望の大学に入れなかった時にその言葉をいただいたのだが、進学当初は「ここに来るはずじゃなかった」なんて卑屈に感じていた。しかし、個性的で、自由で、自分よりずっとずっとチャレンジングな経験をしてきていたクラスメートが私の気持ちを変えてくれた。素敵な仲間に恵まれて、積極的に頑張れた結果が留学だったし、その経験が後の就職活動にも繋がったし、今の私のアイデンティティの大事な大事な部分を形成してくれている。
失敗の反省と教訓を活かした経験
では、なぜ、大学受験が上手くいかなかったのか振り返ってみる。
それは勉強一本足打法で毎日フルスイングしすぎていたからだと思う。
「そら、体が持たないよ。」「息抜きしなさいよ。」とあの時の自分に言ってやりたい。
「肌が崩壊」と体が悲鳴を上げていたのに、なぜ立ち止まらなかった。『勉強』に脳が支配されていたのだろう。そら、彼女に捨てられるよ。友達失うよ。
その時の教訓を活かせた経験もある。
前職で合格率がかなり低く難易度が高いとされている国家資格試験を受けさせられ...違う違う、受けさせていただいた時のことだ。大学受験の轍は二度と踏まないと心に決めていた。
週末は図書館にこもって集中的に勉強して、夜はリフレッシュのためにラーメンを食べ、温泉に行く。友達からの飲みの誘いは必ず行く。そうすると、なんと一発合格できた。(合格最低点で!)これがあるべき姿だった。
稼ぎ頭部署トップの言葉
この経験は、後に所属した前職の稼ぎ頭部署のトップの言葉と重なる。
「この部署に来たからにはみっちり仕事しないといけない。俺らが稼ぎ頭であり会社を背負ってると思え。だが、仕事だけでは絶対にダメだ。働いた分、しっかり遊ぶ。何事も平衡を保たないといけない。働き詰めも遊んでばっかりもダメ。だからと言って働かない・遊ばない、それは退屈だ。」そんなことを言っていた。
ああ、大学受験の時は勉強一本でシーソーはがっつり傾いていた。
バランスを欠いた状態では、良い結果は生まれないのだと改めて痛感した。
挫折を10代で味わえたのはむしろ良かったかもしれない
大学受験での大きな挫折は、10代という若い時期に味わえたからこそ、今の糧になっていると思う。あの時挫折を知らずに大人になっていたら、20代後半で遭遇した人生のピンチで立ち直れないほどのクリティカルなダメージを受けていたかも知れない。
「どこに行くかじゃない。行った場所でどうするかだ。」
「何事も平衡を保たないといけない。」
この言葉たちを胸に、これからの人生も前向きに挑戦していきたい。
そして、もし今、思い通りではない春を迎えている人がいれば、その後の捉え方や行動次第で案外それが良い未来に繋がっているかも知れないと思ってほしい。
私は大学受験も就職活動も転職活動も思い通りにはならなったが、素晴らしい仲間や大切な家族の助けもありつつ、さっきの言葉を胸に前向き頑張っていたら案外楽しい人生を送れているのだから。