私は機械系メーカーの営業として、日々さまざまな会社を訪問する。そんな中、1社だけ受付スタッフがいる。贅沢にも2名体制だ。彼女たちが私の心の安寧を作ってくれている。いつもありがとう。
いつもの柔らかい笑顔で迎えてくれる2人の受付スタッフ
その会社に着くと先ずは守衛で入門書を書いて工場内に入る。そして、会議室があるフロアに行くと、受付がある。
2人の受付スタッフはいつも柔らかい笑顔で迎え入れてくれる。
「こんにちは、〇〇の◇◇です。△△さんとお約束があり、参りました。」
私がそう告げると、彼女たちは担当者を呼び出し、会議室へと案内してくれる。そしていつも飲み物も出してくれる。
週に数回行く会社なので否応なしにお互いの顔と名前を覚えるが、以前は毎回律儀に名乗っていた。しかし、今ではすっかり顔なじみだ。
ある日感じたいつもと違う雰囲気
しかし、ある日、いつもと違う雰囲気を感じた日があった。
- 「研修中」札をつけた初めて見るスタッフがいる。
- いつもの受付スタッフの1人が少し離れた場所で少し寂しそうな顔で従業員と談笑している。
- 彼女が紙袋を持っている。
いつもの受付の時との表情とは違った。
「あれ、もしかしてあの人辞めちゃうの?」
「え、ちょっと寂しいぞ。」
心が何だかゾワっとした。
コンビニ寄ってまた受付へ
とは言え、そんなに喋る間柄ではない。
でも、何だかやっぱり寂しい思いをして、アポを全て終えた夕方、工場内にあるコンビニでお菓子買って、もう一度受付に行ってみた。
工場内のコンビニでは選択肢はほとんどなく、中でも「差し入れ」に相応しそうなチョコレート菓子を3個買った。 紙袋など当然なく、コンビニ袋に入れた。(辞める人にだけ渡したら何だか不公平だし、どうせならと研修含めた3人分、味違いを買った。)
ちょうど受付には他に誰もおらず、意を決して話しかけた。
「あの…もしかして今日最後だったりします…?」
緊張しながら声をかけると、彼女は少し驚いた表情で答えた。
「そうなんですー。今日が最後なんです。何でわかったんですか?」
「いや、ただならぬ雰囲気感じてまして」と言うとみんな笑ってた。
伝えたかった感謝の気持ち
ほんの少し世間話をして、差し入れのお菓子を3人に渡して、最後に伝えたかったことを伝えた。
「良い話で来るときも悪い話で来るときもあったが、いつも同じ表情で迎え入れてくれることに実は助かっていた。特に気が重たくなる話をしに来たときも、いつもの人がいつもの表情でいてくれることに少し気が楽になっていた。」と。
そう言うと、何の社交辞令なのか分からないがこう言ってくれた。
「私も飲み物を運びに行くとき、〇〇の◇◇さんだったときは『ラッキー』って思ってましたよっ」と。
なんじゃそらって感じではあるが、会社名と名前覚えてくれてたのは嬉しかった。もう1人も名前覚えてくれていることが分かった。そしてこれを機に新人にも名前を覚えてもらった。
受付スタッフのプロ意識に学んだこと
いつも笑顔で来訪者を迎えることは、簡単なようで難しいことだと思う。
人生良いことも悪いこともある。体調が優れないときも、前日飲み過ぎたときもあるだろう。
それでも彼女たちはいつもの柔らかい表情で迎え入れてくれる。
私は営業職でストレスがつきものだ。お客様に怒られたり、謝ったり、ときには大事な案件落としたり…。お客様の前では表情持ち堪えていても、事務所ではめちゃくちゃ雰囲気悪いときもある。
どんな時も人前では穏やかな表情でいるよう心掛けないといけない。そうした方が、周りの人がきっと助かるだろう。周りを安心させられるだろう。
受付スタッフがそれを教えてくれた。
その後、そして現在
余談だが、それ以来、残った受付スタッフ、新人スタッフとお互いちょいちょい話をするようになった。「辞めることがあったらその時はちゃんと事前に教えてくださいね!!」って言っておいた。
しかし、先日寂しいことに古株が突然いなくなった。新人スタッフに聞くと、「契約期間を満了されました」とのこと。
今は新人スタッフともう1人の新人スタッフとコミュニケーションを取っている。
受付スタッフと仲良くなるメリット
最後に、私が受付スタッフとコミュニケーションを取る理由を説明しておく。単におしゃべりを楽しみたいからではない。
仲良くなっておくと、
- 入門表に担当者のサイン貰い忘れた際に代わりにサイン貰える。
(サインがないと工場から出れない。) - 上席と同行訪問する際、どこの会議室取られているか事前に確認できる。
- その他にも、困ったことに相談できる。
など、実務的な面もあることは伝えておく。
もちろん、守衛さんとのコミュニケーションも欠かせず、天気の話をしたり、ボールペンなどの新しいノベルティが出たら渡したりと、関係作りをしている。
最後に
受付スタッフは、会社の印象を左右する存在だ。そして、彼女たちのプロ意識は、私のような営業マンにとっても学ぶべき点がたくさんある。
私も、彼女たちのように、常に周りを安心させられるような存在でありたいと思う。