前回のフェリーの記事に続き乗り物たぐいの話になるが、ふと思い出した話がある。
みなさん自動運転バスにどんなイメージをお持ちだろうか。
EV(電気自動車)のバスこそ増えつつあるが、自動運転については未来感を感じるのではないだろうか。
今回は家族で自動運転バスに乗ってみた話をお伝えする。
画像出典: 【実証実験第2弾 報告】便利で安心な自動運転バスを体験いただきました! – FUKUOKA Smart EASTモビリティ推進コンソーシアム
最先端の体験へ
自動運転、なんだか近未来な感じがする。
1年と少し前の頃か、電車で行けるところに実証実験で自動運転バスがやって来るとの話を聞きつけた。
私自身が機械系メーカーに勤務していて世の中のメカニカルなことに興味があることや、家族にもぜひ最先端技術を経験して世の中の広さを知ってほしいとの思いで、すぐに乗車予約した。
乗った自動運転バスはこういうの。
愛らしいフォルムにカラフルなラインの装飾、全面大きなガラスで近未来感、新しい感、昔で言う"ハイカラ"な感じがしませんか?
画像出典:【実証実験第2弾 報告】便利で安心な自動運転バスを体験いただきました! – FUKUOKA Smart EASTモビリティ推進コンソーシアム
いざ体験乗車へ
コースは駅前から数キロ程度の道のりをぐるっと回る周回コースが設定されていた。
予約した便に乗り込み、まず気付くのが、
運転席がない。
本来運転席がある位置もシートになっている。
中には大きなモニターもあり、街を紹介する動画が流れていた記憶がある。
画像出典: 【実証実験第2弾 報告】便利で安心な自動運転バスを体験いただきました! – FUKUOKA Smart EASTモビリティ推進コンソーシアム
私たち家族4人の他、老夫婦、子ども連れ親子、あと係員が乗車していた。
駅前ロータリーは安全のため係員が周囲確認して手動で発進する。
運転席がないのにどうやって?
ゲーム機のコントローラのようなモノで車体を操り発進させるのだ。
すごい、ラジコンみたい。
車両はEV(電気自動車)になっていて、電気的な音とともに動く。
当たり前だがエンジン音がなくとても静か。これがまた未来感を出す。(今やEVのコミュニティバスが増えつつあるが、バスと言えばヴォヴォヴォヴォとディーゼル音を立て、セカンド・サードとギアを上げていくイメージしかない。)
先端技術を楽しみながら乗車体験
係員の方が自動運転のことなどを説明してくれた。
語弊覚悟で超ざっくり言うと、
- 事前に走行ルートをマッピングして(地図を記憶させて)、
- 位置情報やカメラ・センサを活用して、
- 周囲の車や歩行者、その他障害物を検知しながら、
- 中には(赤青黄の)信号と(情報的な)信号のやり取りをして、バスが停車/発進させているところもありながら、
-
決められたルートを走行していく。
このバスに積まれた技術に ー例えば「信号と通信しているのか、カメラで色を認識しているのか」などー 興味津々の私は質問しまくってしまったが、1つ1つ丁寧に教えてくれた。妻や娘も質問に参戦している内に、他の乗客からも色々と質問が出て、ずっと誰かが質問し係員が回答する楽しい会だった。
克服すべき課題も
まだ課題が残りすぐに完全無人で運行できる訳ではないようだ。
実際に同じ街で別の企業が自動運転バスの試験運行をした際に、タクシーとの接触事故を起こして試験一時中断になった過去もある。事故報告書を読むとテクニカルな面と人為的な面の双方がありそうだが、誤った認識を与えないように詳細は割愛する。
事故の原因究明・再発防止策を打たなければならないことはもちろん、そうした事故が起こると「危ない」「信用ならん」と自動運転への信頼性への風当たりが強くなり、地域住民の不安を払拭することに苦労もありそうだ。
私としては人間の方がよっぽど理解不能で利己的な動きをするし、何かあったら安易に「危ないから禁止!」みたいな風潮にはせず、新しい技術と人間社会が協調できる方法の模索を推進してほしいと思う。少子高齢化・人手不足が深刻化していく中で、新しい技術を取り入れていかないと各種インフラの維持が立ち行かなくなる未来が待っていると思っている。
何が良い悪いでもないが、人によって物事の捉え方が異なるものだと感じた。
体験乗車した人の思い
仕組みづくり的にも技術的にも完全自動運転の無人バスが普及するにはまだまだ時間がかかるそうだ。
その説明を聞いて同乗していたおじいちゃんが「それには俺は乗れんな」と仰っていて、私は「やっぱ不安かー。俺は推し進めて欲しいけどなー」と心の中で思った。
大人たちは先端技術や社会的課題の話題に、
子どもたちはバスが注目を集めるので車内から手を振って、
楽しい乗車体験はあっという間に終わってしまった。
人によって物事の捉え方が異なる
家に帰って、楽しかったね、と振り返る。
私が「やっぱ高齢者は新しい技術に懐疑的なんかなー。『ワシャ乗らん』って感じやったよなー。」と妻に言うと、思いもよらぬ反応が返ってきた。
「えっ、違うでしょ。『無人バスが普及するころにはこの世におらんくてワシャ乗れん』って意味でしょ?」
えっ、そっち?
おじいちゃんの真意は如何なるものや。
人によって物事の捉え方が異なるものである。
そうだとしたら、早期技術発展と仕組みづくり、おじいちゃんの長生きを願うわ。